はじめに
施餓鬼供養に関して修行時代のことを思い出したことがあります。
施餓鬼供養には依頼のあった”家”や故人の戒名を当日読み上げるのですが、その卒塔婆に名を書き込むのが、出家したての修行僧の役割の一つとなっています。

霊感を取る練習
名を記入するには法衣で行うのが決まりで改良着か白装束に着替えます。以前は、六根清浄のため、水行をして臨んだそうですが、今ではそこまでしなくなりました。

改良着に着替えたら墨をすり、念を込めて書き入れていきます。
故人もそうですが、申し込まれた【家】の中には、供養が行き届いていないところや障りの深いところもあります。
そのような、故人の戒名や家名を書く時には、異様にのどが渇いたり気分が悪くなるのです。また、具体的にお墓が倒れるような映像が見えたりもします。
その際には、まず先輩の僧侶に再確認をしてもらい、その後その家や故人の関係者に連絡を取り、供養の状態や何か家庭に異常がないか様子を伺います。
このように、卒塔婆の名入れは出家したての修行僧が、霊感を確実に取れるための練習のひとつの場となっています。
おわりに
余談の余談ですが、僧侶は改良着または改良衣を法事等では必ず着ています。大抵は黒色ですが、最近は、おしゃれになって様々な色合いのものがありますね。
あの衣が黒いわけは様々な説があります。
わたしの出家した寺院では、自らを清浄に保ち相対する人の色、すなわち相談者の感情やこころに染まらないということを意味しています。黒色は何色を足しても黒色以外にはならないからです。
夏場には、下に来ている白着が透けて見えるようなものを着ていかにも涼しげに見えます。しかし、あの衣は、生地と黒色とで暑さは吸収するし、透けるほどの薄さでも、とても暑いのです。