お盆回向

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はじめに

そろそろお盆の季節ですね。
帰省して故郷へ戻られる方も多いのではないでしょうか。
近年は、お墓参りやお盆の回向を行う方が少なくなってきていますが、
それでも帰省すれば、ご家族に誘われてお墓参りに行く機会もあるでしょう。

今日は、季節にちなんで、
わたしがお盆回向に伺った際に起きた、ささやかな出来事をお届けします。

亡くなった人からのメッセージ

お盆の時期になると、寺院の信徒さんのお宅へ伺い、
ご先祖さまのための「お盆回向」を行います。

わたしの出家した寺院では、僧侶が葬式や供養の際に、
亡くなった方からのメッセージを霊感で受け取り、できるだけご家族に伝えるようにしています。

それには、2つの理由があります。
ひとつは——亡くなった方が、この世に思い残しを残さないようにするため。
もうひとつは——残された家族が、
「亡くなっても、存在そのものが消えるわけではない」と知るためです。

中には、ごく稀にですが、
隠していた遺産の場所がわかってしまう、なんてこともあります。
(もっとも、それを目的に依頼されると困ってしまいますが……笑)

彼岸花と蝶々

おばあちゃんの好物

これは、2~3年前に亡くなられたおばあちゃんのお盆回向に伺ったときのことです。
回向の場には、おばあちゃんの息子さんと、その奥さまが同席されていました。

読経をしていると、ふと——
亡くなったおばあちゃんの姿が目の前に現れました。
そのすぐ前には、大きな房のバナナが浮かび上がっていたのです。

読経を終えた後、わたしは息子さんに尋ねました。

おばあちゃんはバナナがお好きでしたか?

息子さんは驚いたように笑いながら、
「ええ、何でもよく食べる人でしたが、特にバナナは大好物で、
 自分で買いに行くほどでした」とおっしゃいました。

わたしは、「では、3本ほどのバナナをお皿に載せて、
本尊から見て左側にお供えください」とお伝えしました。
さらに、「バナナは傷みやすいので、午前中にお供えしたら、
みなさんで分けて召し上がってください」とも添えました。

ちなみに、火を通していない食べ物(果物など)は左側、
お菓子など火を通したものは右側に供える——
これが供物の基本的な作法です。

息子さんはうれしそうに、「今から買いに行きます」と言って、
笑顔で出かけていかれました。

おわりに

おばあちゃんのように、亡くなって間もない方々は、
まだこの世への未練が強く、
その思いが食べ物や家族への愛情として現れることがあります。

みなさんもお参りや回向の席に参加されるとき、
どうぞ心のどこかで感じてみてください。
目には見えなくても、亡くなった方はきっとすぐ傍まで来ているものです。

そして、お願い事をするよりも——

いつも修行ご苦労様です。

静かに感謝の想いを伝えてください。

それが、何よりの供養になります。

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