はじめに
今回の著書が見つめるテーマは、「別れ」です。
親や兄弟、友人、親しい人、そして長年ともに歩んできた仲間たち。
人生は、さまざまな人との出会いに彩られる一方で、いつか必ず「別れ」の局面を迎えます。
特に年齢を重ねるほど、その別れは多層的になり、仕事をはじめ、様々な別れが派生してきて、
ときに心の深いところまで潜行してきます。
仏教界隈ではしばしば、「執着を手放しなさい」と語られます。
それは、「別れ」限らず、執着こそが人生の苦(ドゥッカ)の大きな源であり、
私たちの歩みを阻む壁だからです。
とはいえ、もし執着を簡単に捨てられるのなら、誰も苦しむことはありません。
手放したくても手放せない──その葛藤の中を生きているのが、私たち凡夫のリアルな姿ではないでしょうか。
本書は、特に「別れ」の只中にある人、
「別れ」た人への想いからなかなか離れられない人に、
仏典とブッダの言葉から、何らかの契機になればという思いから生まれました。
小さなヒントが、あなたのこころの支えと変われば幸いです。








