位牌の意味

はじめに

今回のテーマは位牌です。

時代を経るにつけて本来の意味が誤解されたり、理解されないまま廃れていってしまうのは、ちょっと寂しい気持ちになります。

そこで、位牌等この先無くなっていきそうなものでも、実は目に見えない世界からすれば、大きな意味を持っていることが少しでも伝わればと思って取り上げてみました。

今回は、位牌が目に見えない世界にとって、どういう意味があるのか書いてみたいと思います。

位牌の役割

宗派によっては位牌のないところもあります。正直、大丈夫なのかなと思う所です。結論から申し上げると以下のようになります。

位牌は、あの世とこの世との接点

話しはいきなり飛びますが、昔、スターゲイトというSF映画がありました。外枠を古代文字で縁取られた円形の入り口から、遥か彼方の別世界へ旅立つというお話しでした。

少し極端な譬えになりますが、そのスターゲイトに当たるものがお位牌になります。もちろん、映画のスターゲイトのように、双方向で人の行き来はできません。

位牌というのは、残存している意識存在-一般的な言い方で霊さんが、存在しているだろう別次元から、この世界を臨む窓口であり、しばし腰掛ける場所なのです。そういう意味で、スターゲイトを思い出したというわけです。

位牌の意義を痛感した出来事

わたしの出家前、当時高校生であった長男の兄が、反抗期と家庭の崩壊とが重なって荒れている時期がありました。

めちゃくちゃな家庭環境だったので、先祖の供養どころではありませんでした。そこで、一時的に次男であるわたしが先祖の位牌を預かり供養をしていました。

預かっている間、出家した寺院と既に縁がありましたので、毎年の２回は、必ず寺院最大の供養行事である施餓鬼供養を申し込んでいたのです。

兄の様子も落ち着き、生活を取り戻しつつある頃、兄に先祖の位牌を返しました。その後は、兄の檀家寺が供養するだろうと、わたしは寺院での施餓鬼供養を止めてしまったのです。

すると、何も書かれていない白木のままの位牌が、夢の中に何度も現れました。わたしは、早々寺院の住職に相談してみると、

とのことでした。

わたしは、当時わたしの担当法師であった尼法師にお願いし、兄に返した本来の位牌とは別に先祖の位牌を作って頂き、自分でも供養を再開しました。そうして、無名の位牌の夢は見ることがなくなったのです。

おわりに

結局、わたしの寺院最大の供養の法事である施餓鬼供養を止めたのが大きな原因だったのですが、目に見えない世界からのメッセージの内容として、無記名の位牌を象徴的に使っていました。

位牌は、目に見えない世界からすれば意味があるということなんでしょう。

しばらくして、わたしが出家した後、兄の家に行く機会があって、霊感で兄に返した位牌を見てみると、中には何も入っていませんでした。

空っぽの位牌を供養し続けるのも気の毒に感じましたが、独善的で利己的な兄だったので、目に見えない世界を説明しても通じないと思い、そのままにしておくことにしました。

このように位牌というのは、目に見えない神を含めた目に見える世界との接点だということです。なぜ神も含めるのかというと、回向供養で神より供養を回して頂くためです。

霊さん側からはこの世界を見ることはできます。しかし、位牌というスターゲートがなければ、霊さんはこの世から、供養の気持ちや供物など様々なものを享受できません。

位牌とは、目に見えない世界にとって、とても大切なものなのです。